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自分にとってblogは人生の覚書。Art、映画、音楽に関するTopicsを新旧おりまぜ日々更新中。毎日ココロに浮かんでは消える想いなどつぶやきます。たまに旅をします。(c) jigenlove All rights reserved.


by jigenlove
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むかしむかしあるところに、

働き者の娘がおった。
娘は容姿こそ10人並だったし、器量もとりたてよいわけではなかったが、
がんばり屋で不器用なところが魅力と言えないでもなかった。

娘は川のほとりにひとりで住んでおった。
奉公しているところの長屋を間借りしているものだから
はじめは窮屈にかんじたものじゃったが
今となっては慣れこそすれ、住めば都じゃった。

ある日、娘はからだの不調をかんじた。
頭がぼうっとして床から立つと足元が危うい。
その日の奉公はなんとかこなしたものの、
帰り際に苦手な頭から重箱の隅をつつくようなお咎めをうけた。
「すみません只今、」と娘があやまってすぐしようとしたが
もうやったから。とすげなく言われしまうのだった。

娘はただでさえ最近生きる気力がなくなっているものだから、
こういうことがあると、
つまらないまちがいだと思おうとすることはできそうだったが
何分いつにもましてぐっと悲しみをこらえるのだった。
by jigenlove | 2006-01-26 21:02 | 物語