自分にとってblogは人生の覚書。Art、映画、音楽に関するTopicsを新旧おりまぜ日々更新中。毎日ココロに浮かんでは消える想いなどつぶやきます。たまに旅をします。(c) jigenlove All rights reserved.


by jigenlove
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旅1

地中海を臨む丘にて、ギリシャ、2003.Feb
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美しい絵葉書に
書くことがない
私はいま ここにいる

冷たいコーヒーがおいしい
苺のはいった菓子がおいしい
町を流れる河の名前は何だっただろう
あんなにゆるやかに

ここにいま 私はいる
ほんとうにここにいるから
ここにいるような気がしないだけ

記憶の中でなら
話すこともできるのに
いまはただここに
私はいる


・・・谷川俊太郎・・・
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by jigenlove | 2006-03-21 18:37 | お唄

ことば

問われて答えたのではなかった
そのことばは涙のように
私からこぼれた

辞書から択んだのではなかった
そのことばは笑いのように
私からはじけた

知らせるためではなかった
呼ぶためではなかった
歌うためでもなかった

ほんとうにこの私だっただろうか
それをあなたに云ったのは
あの秋の道で
思いがけなく ただ一度
もうとりかえすすべもなく

・・・谷川俊太郎・・・
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by jigenlove | 2006-03-21 18:32 | お唄

イキナイ

あきらめて生きつづける(生きない・活きない)者には
それなりの毎日、それなりの生活はあるが
あきらめない生き方をしている者の
あらゆる快楽よりもさらに上の高みへ己を開放してくれる至上の悦びはない

いま、今この時を刻みつけないと言葉で表しきれないこのうえなく大切なものが逃げてしまう。それはとてもささやかなものであったり、哀しかったりあるいはそれらがまじりあい嗚咽のようにノドのあたりでつかえるものだから苦しくて仕方ない。そしてややもするとそんな泣きたくなるほどの感傷でさえ忘れてしまう.....

忘れてしまう。
時間というやつはただでさえわたしたちを老いさらばえ
水分は失われ肌も硬く髪やつめの艶も失せさせるというのに

幼児は育つ過程で感情が派生し、
空腹・おむつ(排泄)・眠いぐらいだった欲求が次第に情緒も発達してゆく
かなしい・たのしいの振り幅の間に「せつない」が枝わかれし
その感情を自覚するのは大切なことだ。

わかりにくいほど繊細な気分や言葉にしがたい感情は
表そうとしないとどんどん消えてゆく.
言葉にできない気持ちを表しつづけることが重要で
またそういうものは生きている限り表し尽くすということはない。

絵や音楽や洋服や色や言葉や表情や声色や何かで
表すことをしないとわたしたちはすぐに忘れ去ってしまう...怖いほどに
表れなかった感情や名付けることをしなかった想いは
やがてそこには存在しなかったことになってしまう。

わたしたちは伝えたい
生きている限り伝え続けたい
なにかを表したい

わたしは伝えたい
いま気持ちいいと
たのしいと
あなたの唄でこころが震えたと
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by jigenlove | 2006-02-06 02:05 | 本能

生きているということ

生きているということ
いま生きているということ
それはのどがかわくということ
木漏れ陽がまぶしいということ
ふっと或るメロディを思い出すということ
くしゃみをすること
あなたと手をつなぐこと

生きているということ
いま生きているということ
それはミニスカート
それはプラネタリウム
それはヨハン・シュトラウス
それはピカソ
それはアルプス
すべての美しいものに出会うということ
そして
かくされた悪を注意深くこばむこと

生きているということ
いま生きているということ
泣けるということ
笑えるということ
怒れるということ
自由ということ

生きているということ
いま生きているということ
いま遠くで犬が吠えるということ
いま地球が廻っているということ
いまどこかで産声があがるということ
いまどこかで兵士が傷つくということ
いまぶらんこがゆれているということ
いまいまが過ぎていくこと

生きているということ
いま生きているということ
鳥がはばたくということ
海はとどろくということ
かたつむりははうということ
人は愛するということ
あなたの手のぬくみ
いのちということ




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『生きる』 谷川俊太郎
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by jigenlove | 2006-02-01 22:06 | お唄

e0079749_21534141.jpgどうしても忘れてしまう
いま目の前にある楓の葉の挑むような赤
それをみつめているきみの
ここにはない何かを探しているような表情
きみもまたきっと忘れているのだ
結局は細部でしかないこの世の一刻一刻を
そして憶えていることと言えばただひとつ
自分が生まれていつかは死ぬという事実
それが幼い子どもが初めて描いたクレヨンの一本の線のように
ゆがんで曲がってかすれて途切れ・・・・・・

だがどうして忘れてしまってはいけないのか
倦きることと忘れることのあのあえかな快楽が
朝の光をこんなにもいきいきとさせているではないか

どうしても忘れてしまう
記憶だけが人間をつくっているのだということさえ
だからきっと人間は本当は歴史のうちに生きてはいないのだ
限りない流血も人を賢くしない
そして忘れ去ったものがゴミのように澱んでいる場所でしか
きみもぼくも話し始めることが出来ない

『忘れること』 谷川俊太郎
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by jigenlove | 2006-02-01 21:54 | お唄

レモン哀歌

そんなにもあなたはレモンを待つてゐた
かなしく白くあかるい死の床で
わたしの手からとつた一つのレモンを
あなたのきれいな歯ががりりと噛んだ
トパアズいろの香気が立つ
その数滴の天のものなるレモンの汁は
ぱつとあなたの意識を正常にした
あなたの青く澄んだ眼がかすかに笑ふ
わたしの手を握るあなたの力の健康さよ
あなたの咽喉には嵐があるが
かういふ命の瀬戸ぎはに
智恵子はもとの智恵子となり
生涯の愛を一瞬にかたむけた
それからひと時
昔山頂でしたやうな深呼吸を一つして
あなたの機関はそれなり止まつた
写真の前に挿した桜の花かげに
すずしく光るレモンを今日も置かう


・・・『智恵子抄』より 高村光太郎・・・
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by jigenlove | 2006-01-08 13:40 | お唄

朝に朝の詩を読む・2

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僕は朝を愛す
日のひかり満ち亙る朝を愛す
朝は気持ちが張り詰め
感じが鋭どく
何物かを嗅ぎ出す新しさに飢えている。
朝ほど濁らない自分を見ることがない、
朝は生まれたての自分を遠くに感じさせる。
朝は素直に物が感じられ
頭はハッキリと無限に広がっている。
木立を透く冬の透明さに似ている。
昂奮さえも静かさを持って迫って来るのだ。
朝の間によい仕事をたぐりよせ、
その仕事の精髄を掴み出す快適さを感じる。
自分は朝の机の前に坐り、
暫らく静かさを身に感じるため、
動かずにじっとしている。
じっとしている間に朝のよい要素が自分を囲い、
自然によい作用が精神発露となる迄、
自分は動かず多くの玲瓏たるものに烈しく打たれている。

『朝を愛す』 ・・・室生犀星・・・
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by jigenlove | 2005-12-09 07:55 | お唄

朝に朝の詩を読む

e0079749_805545.jpgカムチャッカの若者が
きりんの夢を見ている時
メキシコの娘は
朝もやの中でバスを待っている
ニューヨークの少女が
ほほえみながら寝がえりをうつとき
ローマの少年は
柱頭を染める朝日にウィンクする
この地球では
いつもどこかで朝がはじまっている

僕らは朝をリレーするのだ
経度から緯度へと
そうしていわば交替で地球を守る
眠る前ののひととき耳をすますと
どこか遠くで目覚まし時計のベルが鳴ってる
それはあなたの送った朝を
誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ



『朝のリレー』 ・・・谷川俊太郎・・・

ようやく週末。
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by jigenlove | 2005-12-02 08:08 | お唄

あいたくて

e0079749_0221426.jpgだれかに あいたくて
なにかに あいたくて
生まれてきた 
そんな気がするのだけれど
それが だれなのか なになのか
あえるのは いつなのか 
おつかいの とちゅうで
迷ってしまった子どもみたい
とほうに くれている
それでも 手のなかに
みえないことづけを
にぎりしめているような気がするから
それを手わたさなくちゃ
だから
あいたくて



『あいたくて』 ・・・工藤直子・・・
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by jigenlove | 2005-12-01 00:26 | お唄
二人デ居タレドマダ淋シ、
一人ニナッタラナオ淋シ、
シンジツ二人ハ遣瀬ナシ、
シンジツ一人ハ堪エガタシ。



『他と我』 ~北原 白秋~
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by jigenlove | 2005-11-28 22:53 | お唄